今から約15年前、当時、郊外の小さな支店をお預かりしていた時のお話です。時期は3月30日、そう金融機関にとって一番大変な日、決算の前日です。

閉店間際に、為替の担当者が、「支店長、1億円が振り込まれてきました!」と報告されました。

通常であれば、決算前日に預金が増加するのですから、いいお話なのですが、そう、うまくはいきません。「誰の口座?融資の残高を確認して」と指示しました。結果は、融資残高は、9,900万円。

そうなのです、これは競合他行が融資金の肩代わり工作を仕掛けたものだったのです。決算日に融資残高を約1億、減少しなければならない状態なのです。仮に4月に回収を持ち越した場合、新年度当初から預金も融資も1億円のマイナスからスタートとなってしまいます。この日付は、時間的にも余りにも過酷でした。

当然、取引先に借り換えを止めてもらうように交渉しましたが、時間があまりにも無さ過ぎました。新年度は気持ちよくスタートさせたい思いから、結果的に今年度を犠牲にする選択をしたわけです。
メインバンクの認識・・・金融機関と取引企業との認識の違いには相当な開きがあります。

金融機関は融資も決済機能もあれば完全にメインバンクだと思っているのですが、取引先はそうではありません。前述の取引先も融資の借り換えについて、単に金利がかなり安かったので・・・でも総合的な取引は今まで通り、変えるつもりはないのでメインバンクのままでお願いしますとの認識でした。

金利だけのことなら、その時に相談してもらえば対応できます・・・とお願いして、新年度になってから改めて元通りに戻してもらえたのは言うまでもありません。本部から、金利で動く先というレッテルを張られたことはマイナスでしたが・・・!

年度末の3月31日、取引先との交渉、本部との折衝、選択の判断と、なが~い一日は終わりましたが、いい経験をさせてもらったと思っています。