「債務者区分」と聞くと、決算内容で“正常先”や“要注意先”などにランク分けする銀行の融資をイメージされると思いますが、銀行の資産査定の基本となる金融検査マニュアルの廃止が検討されていることをご存知でしょうか?

すでに金融庁は、銀行の個別貸出の査定をやめて、マニュアルの運用を停止しています。背景には、「金融検査マニュアルの依存により銀行を締め付けた」という金融庁の反省があります。

「債務者区分」とは、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先 に区分することです。ここで債務者区分について、再確認しておきましょう。

廃止なら、確認する必要はないのでは・・・と思われるかもしれません。しかし、せっかく大きなコストを投入して確立した「債務者区分」のシステムをみすみす、金融機関が廃止するとは思えません。融資の査定には今まで通り利用できるからです。金融検査マニュアルは、金融庁が金融機関の検査に使うものであって、融資審査とは別のものだと思います。銀行も債務者(取引先)つまり資産は良好な内容の方が安心ですからね。

債務者区分とは以下の5つに区分されています
① 正常先
正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。

② 要注意先
要注意先とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある 債務者など今後の管理に注意を要する債務者をいう。 また、要注意先となる債務者については、要管理先である債務者とそれ以外の債務者とを分けて管理することが望ましい

③ 破綻懸念先
破綻懸念先とは、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金 融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう。 具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過 の状態に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の終の回収について重大な懸念があり、従って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者をいう

④ 実質破綻先
実質破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者をいう。
具体的には、事業を形式的には継続しているが、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは債務者の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況、天災、事故、経済情勢の急変等により多大な損失 を被り(あるいは、これらに類する事由が生じており)、再建の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞している債務者などをいう

⑤ 破綻先
破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者をいう。

大事なことは、正常先であることなのですが、悪くても要注意先で留まるようにするのがベターです。破綻懸念先以下になると融資が困難になると思われます。

そのためには、健全な決算報告、健全な融資の申込み、約定通りの返済、業況の変化の報告等を、履行することだと思いますがいかがでしょうか?